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0524 1939
「何故会長もゆーくんもそんなにテンション低いのかなぁ!年に一度の文化祭だよーっ!」
いつものように男子寮、生徒会役員特別室に来た七愛海が何事かと叫んでいる。それに答える様子もなく、秀悟と祐一はボーッと、大して面白くもない夕方のバラエティー的ニュースを見ている。そのことにムッとなった七愛海はおもむろに秀悟の頬をつかみ、引っ張る。
「ゆーちゃんっ!!早くしないと会長の顔が醜く歪む…のわっ!」
突如繰り出された会長アッパーをよけるため、七愛海は手を離してしまう。
顔の自由を回復した秀悟は祐一を指差し、七愛海に言った。
「おとといの体育祭で精気を使い果たしたんだ。あれはあと四日ぐらい放っておいたほうがいい。…張り切りすぎたんだろ」
「でも、文化祭まであと三週間なのにー!」
そう、そもそも体育祭と文化祭が同じ月にあること事態が無謀なのだ。一般性とはともかく、生徒会では一刻も早く準備をはじめなければならない。
ちなみに、先の体育祭では祐一はホワイトライオン団(イタいネーミングだが、これの名付け親も祐一だ)の団長を務め、他の団に圧勝した。走っても投げても、とりあえず素晴らしい戦績を残し、ラジオ体操や選手宣誓までもを全力でやるので、気力は尽き果てて当然だ。
ちなみに、七愛海他生徒会メンバーもそこそこの運動神経を発揮し、秀悟に至っては牙線では頂上から不敵な笑みを浮かべ敵を苛立たせ、借り物競争では教頭を脅して何かを受け取っていた――らしい。赤い小悪魔という不名誉極まりない称号(本人非公認)までもらっていた。

「だから、体育祭から文化祭までのインターバルが短すぎるんだ。殺す気か」
殺す気か、というのはあながち冗談ではない。毎年、過労で一人は入院する羽目になる。なのに、なぜ11月にまとめてするかというと――
「…お前の、せいだっ!」
いつもは冷静な秀悟が自分のベッドの上の塊を思い切り踏みつける。
「ぐはあっ」と、声変わり途中の低めのアルトの声で悲鳴を上げる。理事長の一人息子、桜坂九重(おうさか・ここのえ)だ。11月9日生まれの九重のために、理事長の独断で11月に行事が集中した。ちなみに、九重の名前は桜九(おうきゅう)=応急(救急)=119番=11月9日が由来らしい。無駄にユーモアにあふれる名前だ。

「山口さん…別に、俺が決めたわけじゃないんですから…。そもそも、生徒会じゃないのに手伝おうとここに来ただけでも褒めてほしいですっ!」
「…手伝ってねぇだろ。寝てただろ、俺のベッドで」
さっきまで七愛海が怒っていたのに、いつのまにか秀悟の機嫌が最悪だ。…まあ、いつものことだが。
ちなみに、生徒会6人中ここにいるのは会長・書記・会計の3人だけで、あとの3人は行方不明と、その行方不明を探しているのと、最初からくる気のない人たちだ。それともう一人、「顧問」という名の「先代会長」が居るのだが。
「あの人は――まあ、ゆーくんと同じ状態でしょうね」
「兄弟そろって馬鹿だ。三年は自由参加だったのに」
「鴇竹一家はきっと“何事にも全力で取り組め”っていう家訓があるんですよ」
ああ、ありそう――と、七愛海と秀悟が頷いたその時。
「おくれました!ごめんなさあい…」
なぜか窓から准が入ってきた。
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